フランス全国高校生デモ、歴史的な動員数に

パリ郊外から始まった高校生の抗議運動が、フランス全国に急拡大している。10月6日には全国一斉デモが行われ、主催者発表で45万人が参加。近年では最大級となったこの運動に、主要な労働組合も動員を呼びかけ、大学生や教職員も次々と合流した。警察による大規模な検挙や重傷者も相次ぐなか、この運動はどこへ向かうのか。
森野咲 2026.10.07
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既に3週目に突入したフランスの高校生の運動。2026年10月6日、ついに全国一斉のデモが開催された。主催者発表によれば、全国で45万人、うちパリでは10万人が参加し、全国3700校の高校のうち1800校が封鎖やデモ・教育省による閉鎖の対象になったという。つまり、フランスの全国の高校のほぼ2校に1校が何らかの形で運動の影響を受けたことになり、今回の運動は、ここ20〜30年で最大級の高校生運動と呼べるだろう。さらに高校生と連帯する形で、今日はフランスの大学の9割も封鎖や動員の影響を受けた。首都パリでは、アンリ4世校や高等師範学校などの保守的なエリート校にまで運動が広がった。

10月6日。大学を封鎖し、キャンパスの前で集会を行う学生たちーーパリ8大学にて(撮影・森野 )

10月6日。大学を封鎖し、キャンパスの前で集会を行う学生たちーーパリ8大学にて(撮影・森野 )

私がこの写真を撮っている時、集会の前を通るバスの運転手が、クラクションを鳴らして応援の合図を送っていた。こうした光景にも表れるように、今回の運動で注目すべきなのは、高校生から始まった動きに、ほかの社会勢力が次々と合流していることである。当初は高校生組合が10月6日の行動を呼びかけたが、その後、教育分野の労組が教職員にストライキを呼びかけ、CGT、FO、FSU、Solidaires、CFDTなどの主要な労組も次々に支持を表明した。さらには農民組合(Confédération paysanne)までが、活動家たちにトラクターで集会へ向かうよう呼びかけた。高校生の運動が、いまや単独の高校問題を越えて社会全体に拡大しつつあるのである。こうした動きは本日のデモの光景にも象徴的に表れ、デモの前方や周囲を組織化された労働組合が歩き、その後方や道路の中央を、高校生たちが思い思いの言葉を書いたプラカードを手に歩いていた。

パリのデモにて。

パリのデモにて。

こうした運動の広がり方は、若者の自発的で水平的な運動に端を発して労働組合にまで運動が広がった1968年5月を想起させるところもある。この日のデモでも、「67世代が68年5月革命をもう一度起こす」と書かれたプラカードを数多く目にした。「67世代」とはフィラデルフィアのラッパー・Skrillaの「Doot Doot (67)」を元ネタとするもので、現在のティーン世代を象徴するミームになっているのだそう。

67世代が再び68年革命を起こす

67世代が再び68年革命を起こす

高校生が異なる闘争の合流点に

デモの様子を見ながら強く感じたのは、「闘争の合流」と、その世代的な広がりである。そこで語られているのは教育問題だけではない。「Travailleurs et lycéens, même combat !(労働者と高校生、同じ闘い!)」というコールが叫ばれ、また極右との闘いや警察の暴力といったテーマも前面に出ていた。「La jeunesse emmerde le front national (若者は国民戦線なんかクソ喰らえ)」という、反極右運動の古典的なスローガンは、頻繁に叫ばれていた。ちなみに今年度の予算をめぐっては、多数派を形成するために極右勢力が与党の予算削減案に乗る見込みとされている。

通りを埋め尽くすプラカードには、反ファシズムメッセージも多い

通りを埋め尽くすプラカードには、反ファシズムメッセージも多い

こうして運動が教育政策を超えて政治的な広がりを見せるなか、LFIやフランス共産党などの左派政党は高校生運動への支持を表明している。一方、政府側は、これを左派による「政治的な利用・扇動」としているーーもちろん、こうした見方は、若者自身が自らの状況を判断し、政治的に行動する主体であることを軽視するものでもある。

フランスの政治家がこの運動をどのように退け、あるいは逆に自らの政治に取り込もうとするのかという動きは、2027年の大統領選挙を目前に控えているという状況とも切り離せない。選挙前の時期とは、人々が「街頭で動くより選挙まで待てばよい」と考え、社会運動が沈静化しやすいタイミングでもあり、しかし、逆に選挙前だからこそ、自分たちの要求を政治的アジェンダに押し込む好機にもなりうる。

その意味でも、今回の高校生デモは、少なくとも現時点では、「大統領選が近いから社会運動は起きない」というありがちな見方を裏切ったと言えるだろう。そんな今の状況を象徴するような場面が、この日のデモにもあった。デモを冷やかしに来たYouTuberとの議論で注目を集め、その映像が世界中のSNSで拡散されたパリの高校生が、広場を訪れたジャン=リュック・メランションにキスをしたのである。そこには、高校生を含む若い世代の左傾化と、その新しい政治的エネルギーを吸収しようとするメランションという構図も見えてくる。

未成年にも容赦ないマクロン統治

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